ダイビング歴43年水中写真家・大方洋二の魚って不思議!

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コブシメ 驚きの繁殖戦略!

この時期、南西諸島での旬な生物は、なんといってもザトウクジラとコブシメだろう。沖縄や奄美では、ザトウクジラが頻繁に出てるようだ。クジラについては別の機会に書くとして、今回はコブシメで。
コブシメは毎年今ごろになると、産卵のために浅瀬にやってくる。多くは、オスが数匹のメスを従えたハレムを形成し、メスが産卵するのを見守っている。

オスはメスよりやや大きく、ヒレの縁に白い線があること、ヒレや腕に縞模様があることなどが特徴で、メスにはない。
だいぶ前にコブシメの産卵を撮影中、小型のオスが自分より大きなメスと交接するのを見つけた。ハレムのオスも気づいて、あわてて突進して行った(上の写真)。
ハレムを作れない小型のオスは、スキをうかがってチャンスを狙っているのだ、とこのときは思っていた。その後、NHKのテレビ番組でコブシメを取り上げたとき、コーディネーターとして制作に携わった。約3週間コブシメを観察したのだが、驚くべき繁殖戦略を知ることとなった。なんと、メスに化けたのだ!
つまりオスの特徴の縞模様を消し、メスの中に紛れ込んで、離れたメスに近寄って交接しようとした。すぐにバレて追い払われたが、このようなことが3〜4回観察された。ということは、数年前の出来事も「メスに変身」作戦だったようだ。
ところで、最近は産卵場所のサンゴが死んでいることが多いが、その場合コブシメはどうするだろうか。何度か観察したところによると、しばらく考えたり悩んだりして、産んでいくことがある(写真中)。
しかし、悲しそうにあきらめて去っていくこともある(写真下)。要は、卵が安全に保たれる隙間があるかどうかで判断しているのだろう。


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プロフィール

大方洋二
大方洋二○1942年 東京生まれ
高校時代にスノーケリングを始め、21歳にときに東亜潜水機(株)でスクーバダイビングの講習を受ける。同時に発売されたばかりのニコノスを手に入れ、独学で水中撮影を始める。
以来、会社勤めをしながら趣味として続け、39歳で退社してフリーの水中写真家になり、現在に至る。NHKの動物番組のコーディネーターも時折務める。日本自然科学写真協会会員。

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