同じ種類の魚でも、海域(国)によって性格が異なることがずいぶんある。日本は漁業が盛んでもあるし、昔沖縄では追い込み網という、魚を脅して網に追い込む漁が多かったので、魚が憶病になっていた。

今では追い込み網は少なくなったものの、憶病な性格はなかなか直らない魚もまだいる。イットウダイ科のトガリエビスもそのような魚である。岩穴など暗い所にたいてい単独でいて、あまり外に出ない。そのくせ好奇心は強く、しばらくじっとしていると、おそるおそる出てきてこっちを見る。左は八丈島で撮影したトガリエビスで、こんな感じで様子を見にくる。
日本では生息数がさほど多くないので、大胆になれないのだろう。というのは、インド洋のモルディブでは生息数が多くて岩穴から出て群がっていることもあり、しかも近寄れるのだ。
これはモルディブのビヤドゥという島の、ビーチから行ける隠れ根で撮影したものだが、いつもトガリエビスが群がっていた。日本では撮れない写真だ。このポイントは潮当たりがよく、激流のためにたどり着けないこともあった。それでも魚が多いので、何度も通った思い出深い場所だ。海外でダイビングするときは、その海の特有な魚、固有種などを優先して撮影するべきだが、日本では近寄りにくい魚を狙うのも良いのではないだろうか。