キハッソクの素顔
魚の和名の由来を調べるのも楽しい。なかには「ウソだろう!」と思うものもある。
ハタ科(ヌノサラシ科とする学者もいる)のキハッソクは、漢字で木八束と書く。その由来は、とても煮えにくいので、薪を八束燃やしたからとのこと。
ちなみに味はよくないらしい。また、皮膚には粘液毒があって、危険を察知すると泡のような毒を分泌して難を逃れるという。このことから本種やヌノサラシ、アゴハタなど同じ習性の魚は英名でソープフィッシュと言われている。
写真は、ワモンダコとにらみ合うキハッソク。沖縄・水納島。
キハッソクは日本ではあまり多くない。比較的よく見られるのは奄美大島だが、それでも限られたポイントでしか見られないし、そこでも2〜3尾見られたらスゴイことだ。
ところが、タイのタオ島では群がっているポイントがある。写真がそうだが、画面では6尾しか写っていないけれども、10尾くらいいた。群がる理由はわからないが、繁殖のためではないだろうか。現地のスタッフに聞くと、このポイントではいつも群がっているという。
幼魚はオーストラリアのグレートバリアリーフ(GBR)で見た。成魚より黄色味が強かったが、すぐにキハッソクとわかった。5日間くらいダイビングして3個体の幼魚を見たから、けっこうGBRでは多いのかもしれない。ちなみにキハッソクにはヒレ以外真っ黒のタイプもいて、それもGBRで見て撮影している。
ほとんどの魚は、卵が孵化すると同時に浮遊生活をして、わりとすぐに海底に定着する。しかしキハッソクは浮遊生活が普通の魚に比べて長いらしい。しかも浮遊しやすいように、背ビレの一部が糸状に長く伸びることが知られている。
キハッソクひとつ取り上げても、いろいろおもしろいエピソードがあり、興味が尽きない。
写真は、兵庫県浜坂町が作成した「魚類図鑑・浜坂町の沿岸魚」を複写したもの。
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