ダイビング歴43年水中写真家・大方洋二の魚って不思議!

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特異な生態・アナハゼ(その1)

サンゴ礁域の魚の繁殖期は、初夏の場合が多い。水温が上がり始めると、繁殖へのスイッチが入るらしい。一方、冷水を好む魚の繁殖期は、なぜか冬だ。冷たくても卵が発生してふ化するのだから、不思議でしかたがない。この季節になると、アナハゼを思い出す。「ハゼ」とついているが、ハゼ科ではない。カジカ科なので、どちらかというとカサゴに近い。

▽大きめの交接器を持つアナハゼのオス

Image1-osu.jpg20年くらい前の話だが、アナハゼの特異な生態に魅了され、冬季にもかかわらず西伊豆の大瀬崎に通ったことがある。特異な生態とは・・・・

▽警戒心がなく、手に乗ってくることも
Image8-hitoni.jpg魚なのに交尾(交接)すること、共食いすること、ホヤに産卵することなど、おもしろい生態の魚なのだ。大きさはオスが約15cmで、2cmくらいの交接器がある。メスはひと回り大きく、オスよりも強い。警戒心はまったくないので、接近して撮影するのは簡単でも、生態は大変だった。
▽飛びつくもハゼを逃がす。
Image9-misu.jpg食性は肉食で、さまざまな小魚などを餌にしている。同種でも小型のものは食べるようだ。岩にじっとしていて、スキをみて飛びついて捕えるのだが、けっこう失敗もある。逃げられると、恥ずかしそうな顔をしてすごすごと岩に戻る。
▽ネンブツダイを飲み込む
Image1hosyo.jpg餌を捕えた瞬間は見られなかったが、獲物をくわえている場面には出会った。ネンブツダイだった。泳いでいる魚を狙うこともあるが、さほど素早くないので捕えられるとは思えない。ケガなどをして弱っていたのではないだろうか。
▽メス(右)を尾行するオス
Image1-suki.jpgオスはメスを見つけると交尾しようとするが、メスのほうが強いので、ビクビクしながら様子をうかがうだけで、なかなかアタックしない。交尾の瞬間を撮影したい者としては、イライラするばかりだ。「共食い」が頭にあるからだろう。(つづく)

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プロフィール

大方洋二
大方洋二○1942年 東京生まれ
高校時代にスノーケリングを始め、21歳にときに東亜潜水機(株)でスクーバダイビングの講習を受ける。同時に発売されたばかりのニコノスを手に入れ、独学で水中撮影を始める。
以来、会社勤めをしながら趣味として続け、39歳で退社してフリーの水中写真家になり、現在に至る。NHKの動物番組のコーディネーターも時折務める。日本自然科学写真協会会員。

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