ダイビング歴43年水中写真家・大方洋二の魚って不思議!

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特異な生態・アナハゼ(その2)

アナハゼは、浅い岩場に生息する。大瀬崎でいえば、湾内の石垣のあたりの水深6〜7m付近で見られる。したがって粘ることもできるが、土、日などの休日は混雑するので撮影にならない。何度か休日に撮影したこともあるが、上からダイバーが落ちてきたことがあった。

▽ホヤに鼻先を近づけると、産卵管が突出

Image6-sei.jpgそれに懲りてからは、平日ばかり通うようになった。まずは産卵の瞬間を狙うため、腹部が膨れたメスを探してずっとマークしたのだが・・・・。

▽出水孔を確認するメス
Image5-hoya.jpgアナハゼのメスは気まぐれで、20〜30分も岩の上でじっとしていることもある。ホヤに接近して匂いをかぐしぐさをしても、すぐには産まない。何が気に入らないのかわからないが、次のホヤを探しに泳ぎ出す。また、産卵しそうになっても、オスがちょっかいを出してやめてしまうこともあり、80分潜っても産卵しなかったことがあった。
▽産卵の瞬間は口を開ける
Image4-san.jpg何度も通ううちに、ようやく撮れた。鼻先でホヤの匂いをかぐしぐさのあと、ホヤに飛び乗って産卵した。その際、産卵管を伸ばし、ホヤの出水孔にうまく挿入させるのだ。卵はバラバラに産み出されるが、すぐにくっつき合ってかたまるため、出水孔から出ない。産卵は1〜2秒で終わり、産卵管を伸ばしたままどこかに泳いで行くが、1〜2分で産卵管は収縮する。
▽泳ぎながら交尾を試みるオスだが
Image2-apu.jpg 交尾(交接)は、さらに困難だった。オスがメスに近づいてもためらうことが多いし、特に腹部が膨れているメスは相手にしない。しかしオスは、メスが泳ぎ出すとあとをついていき、下側から交尾しようとする。だが研究者の話では、泳ぎながらは無理らしい。メスが餌を食べているときに比較的交尾することがあるとのこと。
▽交尾をするアナハゼ
Image3-koub.jpgあるとき、メスに擦り寄るオスがいた。大抵メスは逃げるのだが、このときは違った。オスは横に来ると体を少し倒し、交接器を伸ばした。ついに交尾だ!シャッターを押したものの、角度がイマイチだったので、次のシーズンも撮影に行ったのだが、90分潜っても1尾しか出会えなかった。水温が前シーズンより約2℃高かったからのようだ。温暖化で水温も上がると、アナハゼは見られなくなってしまうのだろうか。



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プロフィール

大方洋二
大方洋二○1942年 東京生まれ
高校時代にスノーケリングを始め、21歳にときに東亜潜水機(株)でスクーバダイビングの講習を受ける。同時に発売されたばかりのニコノスを手に入れ、独学で水中撮影を始める。
以来、会社勤めをしながら趣味として続け、39歳で退社してフリーの水中写真家になり、現在に至る。NHKの動物番組のコーディネーターも時折務める。日本自然科学写真協会会員。

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