ダイビング歴43年水中写真家・大方洋二の魚って不思議!

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婚姻色・ハナダイ編

魚はよく体色を変化させる。種によってもその度合いは異なるが、周囲の色に溶け込む保護色になったり、怒りを表わす警戒色になったりする。主にオスがメスを誘うときに体色を変えることもある。いわゆる婚姻色だが、今回はハナダイ類の中で著しく変化する種をご紹介しよう。

▽色鮮やかなスミレナガハナダイのオス

Image1_sumi.jpgまずはスミレナガハナダイ。このハナダイは、サンゴ礁外縁のわりと深い所(水深約25m以深)に生息し、1尾のオスが複数のメスを支配するハレムを形成する。体側に淡いピンクの四角い模様があるのがオスの特徴だ。メスは全体が明るいオレンジ色で、際立った模様はない。撮影地は沖縄・慶良間諸島。

▽婚姻色のスミレナガハナダイ
Image2_sumi.jpgハナダイ類の婚姻色は、大部分が白っぽくなる。スミレナガハナダイも例外ではないが、腹ビレの先が真っ赤になる。この写真は沖縄の瀬底島で撮影したが、おそらく日本では一番浅い所に生息している。水深12〜3m付近に数組のハレムが見られる。
▽スジハナダイのオス
Image3_suji.jpg体側に赤い帯が1本走っているのが特徴のスジハナダイ。オスとメスの区別がつきにくいが、メスのほうが体は小さく、赤い帯がはっきりしている。スミレナガハナダイ同様、オスがハレムを作る。生息域もやや深い。撮影地は奄美大島。
▽スジハナダイの婚姻色
Image4_suji.jpgスジハナダイの婚姻色の特徴は、赤い帯が薄くなるものの、体全体は赤みが増す。腹ビレの先や尾ビレも赤くなる。撮影地は奄美大島。
▽カシワハナダイのオスたち
Image5_kasiwa.jpgカシワハナダイは伊豆諸島では岩礁域に生息するが、奄美や沖縄ではパッチリーフと呼ばれる根に多い。オスはメスより体が大きく、顔の赤、白の境界線がはっきりしている。撮影地は沖縄・慶良間諸島。
▽体色が白っぽくなったカシワハナダイ
Image1_kasiwa.jpgカシワハナダイのオスがメスに求愛するとき、激しくメスに急接近するが、尾ビレは赤いものの体は真っ白になる。注意深く見ると、尻ビレは淡い黄色だ。求愛をやめてしまうと、徐々に元の体色に戻ってしまう。撮影地は沖縄・慶良間諸島。
▽産卵直前のカシワハナダイ
Image7_kasiwa.jpgカシワハナダイの産卵は夕方。最初に産卵を観察したとき、求愛の際の体色が今までとは異なっていることに気づいた。さほど白くないうえ、背中付近に白い帯があり、まるで別種なのだ。そのような体色・斑紋のまま、産卵をした。薄暗い中なので、白帯のようなコントラストが強い模様がメスを引きつけるのだろう。撮影地は奄美大島。



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プロフィール

大方洋二
大方洋二○1942年 東京生まれ
高校時代にスノーケリングを始め、21歳にときに東亜潜水機(株)でスクーバダイビングの講習を受ける。同時に発売されたばかりのニコノスを手に入れ、独学で水中撮影を始める。
以来、会社勤めをしながら趣味として続け、39歳で退社してフリーの水中写真家になり、現在に至る。NHKの動物番組のコーディネーターも時折務める。日本自然科学写真協会会員。

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