ダイビング歴50年水中写真家・大方洋二の魚って不思議!

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柏島の海と魚(3)

今回の柏島は天気は良かったものの、水温は思っていたより低く、透視度も良いとはいえなかった。水温は毎日、時間によっても異なり、17から21℃の間。平均すると19.1℃だった。

▽産卵中のセスジサンカクハゼ

DSC_1441.jpgこんな低水温にもかかわらず、魚たちは繁殖に勤しんでいた。ガイドさんが指す岩の隙間にハゼの顔が二つ。天井には卵があった。なんで2尾? そう思っていると片方が逆さになったので、産卵中だということがわかった。

▽カワハギの産卵
DSC_1462.jpg初日の1本目でそろそろ浮上というとき、カワハギが産卵した。持っていたカメラは105mmマクロ付き。状況がわかるように撮るには離れる必要がある。その結果眠い写真になってしまった。その後、50mmマクロを付けたときには、カワハギの産卵は見られなかった。
▽産卵するメスとカメラの間に入るオス
DSC_0497.jpgアオリイカも盛んに産卵していた。昔はオドリカラマツに卵を産み付けていたのだが、今は産卵床として木の枝を束ねて沈めていて、イカも木の枝に多く産み付けていた。メスに寄り添っているオスは、他のオスが来ると威嚇するが、メスに近寄るダイバーにも間に割って入ってきてメスを守ろうとする。
▽仲よく並んで産卵するクマノミ
DSC_0170.jpg一番ビックリしたのはクマノミの産卵だ。これまでクマノミの産卵は沖縄や奄美で何度も見てきたが、水温は21℃以上だった。しかし、このときは18.2℃しかなかった。三宅島で長年クマノミの研究をされていたジャック・モイヤー氏は、水温22℃以上と言っていた。柏島の海域のものは、低水温に適応したということだろうが、おそらく新記録に違いない。
▽大きなオスに求愛するメス
DSC_3812.jpg産卵まで見られなかったが、ニジギンポのおもしろい行動があった。ニジギンポのメスが、オスに体をすり寄せて盛んに求愛していたのだ。普通はオスがするのだが…。無関心だったオスがついにその気になった。
▽狭い貝殻を広げようとするオス
DSC_3814.jpgオスは近くの貝殻を産卵場所にと考え、向かった。メスもついて行く。オスが貝殻に入ろうとしたが小さすぎて無理。何度も殻を広げようとしたが、ダメ。あきらめて別のものを探すが見つからない。結末を見ぬまま、浮上時間がきてしまった。



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プロフィール

大方洋二
大方洋二○1942年 東京生まれ
高校時代にスノーケリングを始め、21歳にときに東亜潜水機(株)でスクーバダイビングの講習を受ける。同時に発売されたばかりのニコノスを手に入れ、独学で水中撮影を始める。
以来、会社勤めをしながら趣味として続け、39歳で退社してフリーの水中写真家になり、現在に至る。NHKの動物番組のコーディネーターも時折務める。日本自然科学写真協会会員。

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