ダイビング歴50年水中写真家・大方洋二の魚って不思議!

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サンゴの白化とテングカワハギ

前々回に『みどりいし』に掲載されていた「サンゴをかじる魚」について書いたが、今回も興味深い報告について書いてみようと思う。福井県立大学 海洋生物資源学部の小北智之氏が書かれた「造礁サンゴの白化とサンゴ食魚類の未来」。

▽『みどりいし』表紙と本文

hakka14.JPGサンゴは生物なので、多くの魚がエサとして利用している。実際にサンゴの粘液は栄養価が高いことが知られていて、魚たちは粘液やポリプをエサにしている。しかし大部分の魚はエサの一部としているもので、それを専門に食べている魚はそう多くない。

▽サンゴ専食のイッテンチョウチョウウオ
hakuke_1828.jpg サンゴを専門に食べている魚類を、別の研究者が沖縄本島の礁池で調査した結果、イッテンチョウチョウウオやスミツキトノサマダイなどチョウチョウウオ類は9種。スズメダイ類ではアツクチスズメダイとルリメイシガキスズメダイの2種。他にクロベラ、セダカギンポ、コバンハゼ、テングカワハギなどで、調査した範囲では魚種全体の1割だったという。
▽アツクチスズメダイもサンゴを専門に食べる
haku1.jpgこうしたことから、サンゴがオニヒトデの食害や白化などで死滅してしまうと、サンゴを専食している魚が激減することは容易に想像できる。とはいえ、正確なデータは皆無に等しい。
▽白化したテーブル状サンゴ('98年奄美大島)
hakka5.jpg小北氏は、'98年に発生した大規模なサンゴの白化現象の前後に、サンゴ食魚テングカワハギの生息状況を調査していたという。そして報告の中で、貴重なデータも記されている。
▽環境の変化に敏感なテングカワハギ
ama_0611.jpgテングカワハギはミドリイシ属のサンゴのポリプを専食する。したがって、テングカワハギの生息密度が高い場所は、大抵ミドリイシ類の被度も高い。小北氏が調査していた場所では、白化でサンゴが死滅するとテングカワハギも絶滅したという。造礁サンゴへの依存度が極めて高いうえ、行動範囲が狭いためにそのような結果になったのだろう。その海域のサンゴが健全かどうかは、テングカワハギでわかる。

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プロフィール

大方洋二
大方洋二○1942年 東京生まれ
高校時代にスノーケリングを始め、21歳にときに東亜潜水機(株)でスクーバダイビングの講習を受ける。同時に発売されたばかりのニコノスを手に入れ、独学で水中撮影を始める。
以来、会社勤めをしながら趣味として続け、39歳で退社してフリーの水中写真家になり、現在に至る。NHKの動物番組のコーディネーターも時折務める。日本自然科学写真協会会員。

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